Fly Fishing 2013/10/15 A Maori angler beats me さあ、2日目です。ステイしたホリデーパークでは静かな朝に感じるけど、レイクはどうかな? チャンネルのスポットに向かいます。 車が1台止まってる。準備してると後からもう1台来た。やはりチャンネルが解禁したら急に人が多くなった。まあ、きっとチャンネルの中狙いだろう。 まだ夜明けちょっと前。自分のスポット、チャンネルの外側は空いている。風向きはSWで昨日と同じだけど、ほとんど収まった。よかった。 薄暗い中でキャスト開始。もう15分もすれば明るくなる。 そして夜明け。ラインが見やすくなってきた。と思ったら、 ”Nice calm morning, yeahh.." (静かないい朝だね) と誰かが背後霊のように声を掛けてきた! 振り返るとマオリのおっさんローカルアングラー登場。このスポットをやるらしい。こっちのローカルのアングラーは先行者がいても、気にせずどんどん入ってくる。 自分の右横の沖側に腰上までウェーディングして始めやがった。 こっちはスイッチロッドでアンダーハンドキャスティングだから、自分の右側の水面が使いたい。そこに入られたらやりにくいじゃないか~ 仕方なく、やつと前後の位置を少しずらしてアンダーハンドか、オーバーヘッドで応戦します。 まあどうせまた釣れずに飽きていなくなるだろうと思っていた。 するとわずか2~3投でマオリのおっさんヒット。途中でバラシた。 こっちはもう15分くらいキャストしているのにまだアタリがない。 それからすぐにまたおっさんにヒット。40cmくらいの小さいレインボーだけど、今度は釣り上げた。 なになに、マオリのおっさんやるじゃない!? ちょっと観察していると、このおっさんなかなかのテクニシャンで、そんなに高度なハンドツイストじゃないけど、左手のパームにきっちりラインを手繰りこんでスローリトリーブしている。 それだけでも、かなり手馴れた感じでやりこんでいるのがわかる。 ただキャスティングは超ヘタっぴ。右斜め後ろから風が吹いていて投げにくいんだけど、ループがロッドティップをかすめてしょっちゅう絡んでいる。 なんかまたきたけど、バラシたようだ。 ”What fly are you using?” ときいてみると、 ”Grey Ghost" ってことだ。 グレイゴースト、ベイトフィッシュパターンのストリーマーですね。 やっぱりスメルトパターンなんだね。 このフライパターン、本来はトラディショナルなサーモンフライのような、 こういうのみたいだけど、 このおさんが使ってるのはもっとシンプルな こんな感じのだ。 自分はいつもの定番マラブーパターンで、 スメルトっぽいカラーはこれだ。 これはメチャクチャ釣れる絶対的に信頼しているフライで、そんなに釣り負けるとは思わないけど。 こっちはバイトなし。なぜだ? そうこうしているうちに、マオリのおさんまたヒット! なんだかデカそうだけど、まったくジャンプしないなあ。ブラウンなんじゃない? おさんはネット持ってない。すくってやるか。 おさん、ステップバックして、流れ出しのカレントの影響をうけない手前の浜のほうへどんどん下がっていく。これは自分もこの場所でいつもやるランディング方法だ。さすが分かってるね。自分も下がって魚を追いかける。 魚が見えた! "Wow,huge brown!!" おさんが自身の方に魚の頭を向けているすきに、後ろからズバッと魚の前にネットを出して1発ですくった。 でかくて太いいいブラウン!ジャック(オス)だ。 そのままスケールで測ってやると 9lb! まいったな~。こっちはまだ8lbまでしか釣ったことないのに上いかれちゃったな~ そしてビッグブラウンの口にはまたしてもグレイゴーストが。リーダーなんてティペット込みで6ftくらいしかないじゃないか。ラインも普通のWFだろう。 こんなんでも釣れるんですね。グレイゴーストって釣れるんですね(笑) このおさん、ランディングも早かった。このブラウン、長さはたぶん70cmいってない。65~68cmくらいだけど太い。あの太さの9lbはそう簡単には上がってこないよ。まあ、自分ですくってたらもっと手こずっただろうけど、それにしても早かった。プレッシャーの掛け方が自分とは違うのかな。自分が大事にいき過ぎているのかも。 もう1時間くらいやってるのにこっちはまだ1発のバイトもなし。 隣でおさんに9lbのブラウン抜かれちゃうし、もう精神崩壊寸前だよ。 でも冷静に考えると、このバイトの差はフライだけじゃなく、おさんと自分の位置関係のせいな気がする。 自分の右側のおさんがカレント(右から左)の上手、自分が下手だ。 いつもは1人で、おさんのポジションの前にキャストして、60~70度くらいの扇型にワイドにスイングさせて狙うんだけど、今日はおさんがいるから、下手側のいつもの半分くらいの幅しかスイングできない。 今日の魚のポジショニングはカレントの上手側で、レイクに少し入り込んだ位置がいいのかもしれない。逆に下手のチャンネルに入り込んだ辺りの流し終わりがいいこともあるけど。 よし、相手はおさんじゃなくてトラウトだ。自分の釣りに集中するんだ。 おさんは相変わらずラインのトラブルが多いので、その隙にすかさずおさんの前にキャストしてワイドスイング。 そしてようやく1発目のバイトを捕らえた! キタァーーー!! レインボージャンプ!けっこういいサイズ! とりあえず反撃の1発目は4lb、55cmだ。やっと今週末の初フィッシュだよ。 そして30分後くらいに、おさんがちょっと岸に上がった隙に2発目だ。 ちょっと小さめだけど47cm。よっしゃー、落ち着いてきた。 おさんはしばらくバイトなし。おさんが ”お前はアメリカンスタイルだな” みたいなことを言ってくるので、どういう意味か分からないけど、 ”そうだよ” って言っときました。 ScottのスイッチロッドでRioのScandiのヘッドをDループで投げて、Simmsとか身に着けてるわけだから、まあそういう意味ではたしかにアメリカンだよ。 そして約2時間一緒にやったけど、マオリのおさんは釣り終了で帰っていきました。 ふう、これでやっといつもの釣りができるよ。 もう9時を回ってるけど、まだライズは続いている。 バイトはたまにあるんだけど、どうもショートバイトでフッキングまでいかない。 少し風が強まってきて、水面がチョッピーになってきたからティップを変えてレンジを下げよう。ヘッドのティップをFからインターに変えようとして、インターティップのループを掴んだつもりが、誤ってフロロのリーダーのループを掴んでいて、インターのティップを水に落としてしまった。クリアーインターなのでよく見えないし、流れに乗ってあっという間にどっかにいってしまった。 うわ~、インターティップ紛失した~ 仕方なくT-3のティップを付ける。 そして待望の3発目、Fish on!! Rotoruaらしいカラーのレインボー48cm。 これはホントにRotoruaらしい特徴的な色の魚です。ほとんど黒点のないオリーブ色の背に体側のピンクが染み出して腹のほうまで行き渡っているよう。日本では見ないタイプの美しいけど不思議なカラーのレインボーです。NZでも場所によってトラウトの色はさまざまです。 この後も30分に1発くらいのペースでバイトがあって、フッキング後にすぐ外れてしまったのが2回、のらないショートバイトは多数でやめるにやめられないという展開。 昼近くまで粘りましたが、4本目はキャッチできず、風も強くなってきたところで対岸からローカルアングラーも1人入ってきたので終了。 なんとか3本釣ったのでそんなに悪い釣りではなかったけど、多発したショートバイトに対応できればもう2本くらい釣るチャンスがあった気がするな~ 今日はあのマオリのおっさんにやられたよ。春にこの場所に通い込んでいればビッグブラウンのチャンスがあるという予測は正しかったようだけど、食ってきたのは自分のフライじゃなくて、あのおさんのグレイゴーストだった。いい魚だったなあ、あのブラウン。あのネットに入れて持ち上げたときの9lbの重さだけいただきましたよ。ごちそう様でした、ハイ。 でも今日あの9lb、先々週の自分のBDプレゼントフィッシュの7lbと冬の間全く釣れなかったブラウンが、ここへきて少なくとも2本は出てる。確実に動き出したな。 Rotoruaはマオリの文化が色濃く残る土地で、マオリの人も多い。ここで釣りしてるローカルアングラーって、エサで鯉とか釣ってる多摩川のおっさんたちと変わらないんだな。このチャンネルで認められている釣りのメソッドはフライのみだから、近所のおっさんたちでさえフライマン。それがNZっぽいんだけど。 多摩川とかで近所に住んでて、しょっちゅう竿持って来るおっさんいますね。そんなに長い時間はやらないけど、朝とか夕方とか2時間くらい顔なじみの仲間と世間話して釣りしてっていう人。あれですよ。 この辺りで釣りするローカルたちにとっては、このチャンネルのポイントもそこにいる魚も日常の一部なんですね。ただその”日常”で釣れる魚がコイとかフナとかオイカワとかではなく、5lbも6lbもあるレインボーだったり、あんな9lbもあるブラウンだったりと、なんとも恐ろしいというか、我々日本人にとっては羨ましい限りの日常ですが。 そして、そんな彼らの日常にお邪魔しているアジア人、オークランドからわざわざ230kmもドライブして毎週やってくる奇特な日本人が自分なんでしょうね。230kmどころか、母国日本からなら9000kmの彼方ですから。 今日の教訓:マオリのおっさんもやるやつはやる。 ちょっとグレイのカラーが入ったベイトフィッシュパターンを巻いてみるか。 PR