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SWEET GREEN LAND

A blog of Japanese fly fisherman living in Otago, New Zealand

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Encountering Unexpected Rises

翌日、月曜日は早朝にまた雨が降ってしまった。
せっかく川の濁りが引きかけているこのタイミングで追加の降雨。

こりゃ終わったな、今週は。

午前中は用事を済ませたりしていたけど、昼過ぎには時間が空いてしまった。

前回の記事に書いた、FISH&GAME NZのオフィスを訪ねた時にオフィサーが教えてくれた、大まかに言うと、Dunedinより南(Gore方面)に向かうとダークな水色の川が多く、逆に北に向かうとクリアーな川が多いという言葉を思い出して気になっていた。

Dunidinから北へ1時間圏内に2本メジャーな川がある。シーズン前にいろいろリサーチした結果、まず釣ってみたい川が南に多かったので昨日はそっち方面にいったけど、北の近場の川も半日釣行向きの川としていつか見に行かなくてはと思っていたので、今日は見るだけでも行ってみるか?

ロッド1本だけ用意してSH1を北に向かいます。

手前の1本目の川までわずか40分ほど。近いです。


到着すると予想以上に水色がいい。この川はそれほど濁らなかったようだ。

昨日は見ることができなかった釣れそうな水の色に気持ちも少し上がってきた。

よしやってみるか。

橋のたもとからエントリーしてしばらく川を上がるとブラウンを1匹発見。

けっこういいサイズ。50cmはゆうに超えている。

ただスローな水深のある流れで泳ぎ回ってしまっているのでアプローチしにくい。

ニンフでしばらく狙ってみたけど、姿を消してしまった。

さらにもう少し釣り上がると、水深は浅くなって大きくゆったりとベンドしているフライ向きの流れに出た。

よし、ここからだな。

すぐに1匹、流れを上っていくブラウンがいた。


しまった!スプークされたか??


完全にはスプークしてないけど、コイツもけっこう泳ぎ回っている。


この川けっこう魚いるんだな。


と思ったら、そのブラウンがなんと2回もライズした!

ゆったりと浮いてきて、カプッと水面で何かを捕食した。


ええっ?何??!


さっきDunedinを出てこっちに向かう途中、少しみぞれっぽい雨が降ったりしたんだけど。

今は少し日が射してきたけど、今日は寒いし風がメチャクチャ強い。


この状況でライズなの??


まだシーズン始まったばかりの10月上旬だよ。

北島の川では絶対にありえないこの状況に困惑してしまう。


でも、たしかにライズしたよ。


もう、今はまだ10月だとか、寒いからドライで釣れるわけがないとかそういう固定概念はどうでもいい。今目の前でライズが起こっている事実がすべてじゃないか。

システムチェンジを決意。


チェコニンフなんかやってる場合じゃない。ドライフライだ!


慌てず急ぐんだと自分に言い聞かせ、スプール変えて、ガイドにまたラインを通して...

さあ、フライは何を結ぶか?

この状況なら、まずは...

やっぱりこれでしょう。

アダムスパラシュート#13だ。

NZに来てから、ライズの対象がはっきりしないときや、デカイドライへの反応が良くないとき、シーズン中の盛期以外の時期など、レインボウ、ブラウン問わずにジェネラルに使えて最も信頼できるパターンの1つと自分が考えているフライだ。

次のライズを待って、ヤツの位置を確認してから投入。


無視された。。


3回ほどいいレーンを流したけど全く反応しない。

すると少し下流でまたライズ。


アレ、2匹いるの?


どうやら1匹ではないようだ。

フライは無視され続けているけどライズがだんだん頻繁になってきた。

全く予想外の状況に出くわして、何だか頭がおかしくなりそうだ。

久しぶりにマッチ・ザ・ハッチの釣り。


よし落ち着け。フライが合ってないぞ。


我に返って、ライズを観察してみる。

派手なライズではない。下から食い上げてきて、魚の頭がデカイから勢いで口先が水面を破って出るような、そして反転して戻っていくときにテールが出たり出なかったり。

そんな感じのライズ。魚の背中はほとんど出ない。

つまり、水面に乗っかっているものではなく、水面直下を漂うものを捕食しているように見える。

虫は飛んでいない。


サブサーフェイスか?


日本で渓流をやっていたときのように多くのパターンは持っていないけど、サブサーフェイスの対策はしてある。

フローティングニンフ#14にフライを変える。

このパターンは北島でも、ドライフライのシーズン序盤と終盤に時として有効だった。

突風並みの強風が時折吹いてきてキャストが難しいけど、風の合間で何とかキャストしてフライをレーンに送りこむ。

フライチェンジから数投で、すぐに答えは出た。

まずは1発目のブラウンが「バフッ」とエマージャーをくわえた。


ほらやっぱりサブサーフェイスだ!


これが狂乱の60分の始まりだった。

ライズを見た感じでは50cmくらいのヤツかと思っていたけど、掛けたらもっとデカかった。

ブラウンにしてはかなり元気のいい、強烈なファイト。



ようやく仕留めた南での初トラウトはやっぱりブラウン。
メジャー忘れたけど軽く60cmは超えてるだろう。5lb。

 
なんてキレイなブラウンなんだ。
 

自分の下流でホワイトベイトをネットで取っていたローカルのKiwiアングラーが駆けつけて、写真を撮ってくれた。

まだライズは続いている。

むしろライズが増えているじゃないか!

まさかシーズンのファーストフィッシュをこの時期にドライフライで釣ることになるなんて。

しかもいきなりこのサイズ!



続いて、同じフライにあっさり2発目が出た。サイズはだいぶ落ちたけどこれでも50cmくらいはある。これが3.5lbくらい。

 
この2匹目は少し色がシルバーっぽいんだけど、もしかしたらこれがシーラントラウトなんじゃないだろうか。ここはエントリーポイントの橋辺りまではタイダルの範囲らしいしな。


ストマックのコンテンツをとってみると、黒に近いこげ茶の細いメイフライのニンフ、全く同じ種が3つと、ホーンケースドカディスのケースですね、この少しテーパーのかかった筒は。
このこげ茶のメイフライがちょうど#14くらい。これが水面にエマージングしていたのではないのか?もしそうなら自分のフライのサイズ、カラー、タイプはほぼドンピシャだったということになる。

さっきのKiwiアングラーがまたやってきて、初対面だけど話して友達になった。
彼の名前はMarty。すぐ近くに住んでて、この川で20年釣りしたり、ホワイトベイトを捕ったりしてるらしい。
こっちは3週間前にAucklandから引っ越してきたばかりで、この川には初めて来たよって言うと驚いていた。

普段はこの川のブラウンもめっちゃスプーキーで、釣るアングラーを見る機会はそんなに多くないんだそうだ。

しかし今日のこの瞬間、明らかに特別なことが起こっている状況だ。

まだライズは続いてるからたぶんまだ釣れる。

Martyが後ろで見てるからもう1匹釣って見せてくれっていうので、よし、じゃあ見ててくれって事で次を狙う。

いとも簡単に3発目が反応。風が強くてもキャストは冴えている。

しかしこれはティペット切れで落としてしまった。またしてもデカかった。

なんだか興奮しすぎて、2本釣った後結び直すのも忘れていた。


もうこのベンドのあちこちで4~6lbクラスのブラウンがライズしているあり得ない状況。

ティペットを交換して、新品の同じフライを結ぶ。

そして4発目!フーッと浮いてきて、パフッと静かにエマージャーをテイク!!

Martyがビデオカメラ持ってないのかって言うんで、自分のデジカメを渡して撮影開始。

映像はファイトし始めの2分くらいを経過したところから残りの4分ほどのシーン。2人で大興奮の実質6分ほどだった6lbブラウンとのファイトです。自分よりMartyのほうがエキサイトしてますけどね(笑)



ランディングしたのはこの日最大の6lbのジャック。

 
ちょっと細身だけど、65cmくらいありそうだ。


なんだこの川は?!なんなんだこのスゴすぎる状況は。。

もう十分満足。

なんだか気が抜けてしまった。

体勢を立て直すと、ちょうどライズもパッタリ止んでいた。

あとで写真の撮影時間をチェックしてみると、1発目から最後の4発目までちょうど60分ほど。午後2時~3時の信じられない1時間だった。写真を撮るのにもかなりの時間を使っているので、さっさとリリースしてキャストし続ければ、もう2~3発掛けるのも不可能ではなかっただろう。


一旦ライズが止まると、この流れには魚なんか1匹もいないかのように静かだ。なぜか姿も見えないし。ボトムの色に同化して、何もせずにじっとしているんだろうか?

この後、ドライ&ニンフに変えてちょっとやってみたが何もなし。

いちおう5時近くまでやったけど、早めに終了。遅くに来て早く終了(笑)

 
いや~、すごい釣り、衝撃的な1時間だった。1本目をランディングしたときは久しぶりに魂が震えたよ。

 シーズン最初の週末だったけど、早くもいろんな意味で南の凄さを垣間見た気がする。いい面でも悪い面でも、南の釣りを取り巻く事柄は、自分の想定していた範囲を超えている気がする。釣れる魚のサイズ、釣れ方、風の強さや気温などの気象、そしてフィールドの広さ、大きさ、すべてが。

失意の初日Mataura釣行から一転、今日のアツいドライフライゲームは、自分のフライフィッシングの歴史の中でも、最もエキサイティングなものだったのは間違いない。

今日の釣行はたぶん一生忘れないだろう。


ほとんど放心状態に近いけど、うれしさがこみ上げてくるようなそんな気持ちで川を引き上げる。

 
今日、すべてのブラウンをキャッチしたのはこのフライ。
バイオットのボディにウイングはディアヘアとCDCかADWを前傾に立てて巻いて、テールには水面下で少し光るアントロンでシャックを付けたもの。
フックはTMC2457の#14。同型細軸のTMC2487か212TRで巻くこともあるけど、2457で巻いておくとファイトには安心感が持てる(この写真では212TRに巻いています)。シルエット的には212TRの方がベターだけど、まあ、あのサイズの魚ですからね。NZスペシャルでヘビーワイヤーの212NZとか出してくれないかな。
そういうわけで、ニンフも巻けるし、TMC2457はNZで釣りをするなら最重要フックですね。

今日はこのフライを持っていなかったら、ビッグブラウンのスーパーライズを目の前に、1匹も捕れなかっただろう。

自分はプロタイヤーでもタイイングオタクでもないので、必要以上に凝ったタイイングはしないけど、釣れるフライ、魚を捕れるフライであることにはこだわります。

キャスティングもそう。実践でターゲットを仕留めるのに必要なアプローチは実践の中でしか身につかないと思っている。キャストはそのアプローチの一部なので、釣りに行くのが一番の練習。以前はやりましたけど、今はキャステイング練習に時間を割くことはないです。
ツーハンドはレイクで釣れない時に、自然とキャスレンになる(笑)
今日のようにビッグトラウトのライズのラッシュに遭遇したりとか、そういう冷静でいることさえ難しいような状況では、ループがどうだとか、ボディターンがどうとか気にしている場合ではない。100%目の前のターゲットに集中しなくてはならないので、キャストの細かい動作などはすべて無意識にそうなっているように身に付いていなければ意味がないですもんね。
 

2010年の4月に日本を離れてから、もう4年半が経った。

オーストラリアからNZの北島、そして南島へ。

自分らしく仕事ができて、休みの日にはできれば毎週ワールドクラスの川やレイクで釣りがしたい。

なんとか仕事と最高の釣りが両立できる場所はないのか。

仕事や生活の面ではいろいろなことがあって数奇な運命の連続だったけど、持ち前の行動力と決断力と直感でなんとか切り抜けた結果、ついにこんな地球の南端に近いところにたどり着いてしまった。

Dunedinはまだ3週間だけど、すでにけっこう気に入っています。

小さいけど、静かでいい街だし、人もいい。

このリージョンの川には十分なポテンシャルがありそうで楽しみだ。

でも、釣れない時は徹底的に釣れないんだろうな。そんな気がする。


さあ来週末はどんなドラマがあるんだろうか。
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